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商業繁殖・生体販売の意味すること [アニマルウェルフェア]

はじめに、この記事は、簡単に、短く書いてしまうと誤解が生まれる恐れがあるので、前回にも増して(かな?)長いです(笑)。

なのでおつきあいくださる方には最初にお詫びします。


前回の記事、関心が高いトピックのようで、とてもアクセスが多かったようです。

とても貴重なコメントをたくさんいただいたので、少しここにご紹介したく思います。

コメントくださったみなさま、ありがとうございました!個別にお返事しています(この記事を書く時点までのコメントに対しては)。

♡ まず、犬の周囲ではご自身やお子さんに気を付けるようにしているポイントを書いていただいたコメントがいくつかありました。大声を出さないとか、じっと見ないとか、犬と暮らす者にとっては基本的なことですが、意外と知らない方も多く、こうしてもらえると事故も防げます。

♡ 次に、犬に噛まれたり倒されたりという事故があったというコメント。まずは気を付けないといけないな、と改めて思います。そして、それでも(少し不安になる時もあるけど)犬は好き、というコメントもあります。例えばものすごく向こう側に行って(笑)犬をよけて歩く方の中には、「嫌い」ではなく「怖い」という気持ちでそうする方がいらっしゃること、私達としても忘れがちです。

♡ やっぱり犬や猫など動物と、特に小さな子どもとの関わり方は、考える必要があるということに同感ですというコメントも多いです。子どもさんがいらっしゃる方からのとても貴重なコメントがあり、私としても参考になりました。

♡ 動物は本来その動物である、ということを意識して気を付けているというコメントもいくつもありました。大型犬と小型犬の事故しかり、可能性を常にリスクとして意識してます、ということでした。

♡ 最後に、商業繁殖・生体販売、メディアでの動物の偏ったイメージについても、たくさんコメントいただいてます。猫ブーム、「カップサイズ」や小さな体格の犬の繁殖、ペットショップでの価格が上昇している傾向、TVでの赤ちゃんをあやす犬など特定イメージを強調した映像などについて、コメントいただいてます。

今日の記事はこの最後の点について書きたいと思います。


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生体販売・商業繁殖。

まず、私が今日ここに書くことは、「愛玩動物」、いわゆる一般人のペット、についてに限定しています。

要点を先にまとめますと...

① 背景:アニマルウェルフェア(動物福祉=動物の幸せ)の概念は、日本でもここ数年で加速化。

② 倫理的考察1:商業繁殖・生体販売は、「動物全体の幸せ」を考えると、倫理的理由からしない方がよい、すべきことではないと言うことができる。

③ 倫理的考察2:どんなに善意に基づいていたとしても、愛玩動物を繁殖し商業利用することは、「死」という生きものにとっての最大の不利益のリスクをはらんでいるため、人間側の利益がそれを上回らない限り、正当化することができない。そして現状、上回るとは言えない。

④ 倫理的考察3:上記理由の中には、人間側にはより倫理的に望ましい選択肢(保護動物の引き取り)が存在するから、というものがある。「不必要な愛玩動物」がいなくなるまでは、繁殖モラトリアムを行うことが倫理的に正しいと言える。

⑤ 補足:ただし、管理センターへ業者が持ち込みをできなくなった現在、「保護動物」を引き取る善意に、商業繁殖・生体販売をする業者が支えられているという新たな構図も出て来ている。

以下、もう少し説明しつつ書いています。


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① アニマルウェルフェア(動物福祉=動物の幸せ)の概念は、日本でもここ数年で加速化

商業繁殖・生体販売についてはずっと書き続けてきたことですが(このブログでのカテゴリーとしては、「every dog has a story...」に多く入ってます) ...

ちょうど来年2018年は、動物愛護管理法というペットを含む動物の取り扱いについて決めた法律の見直しが行われます。

また2020年のオリンピックに向け、生体販売の地域限定禁止や「殺処分ゼロ」を目指す運動もずいぶんと高まりを見せています。

さらにいうなら、ペットとは違いますが畜産動物のウェルフェア認証も、2016年夏からスタートしています(こちら)。

私がアニマルウェルフェアについてリサーチを始めた20年前から比べると、ここ5年で日本のAWは加速化しています。

法律の改正などの働きかけも経験がありますが、社会的に、そろそろ本気でこのトピックを抜本的に見直す素地は出来てきている、と私は感じます。




② 商業繁殖・生体販売は、「動物全体の幸せ」を考えると、様々な倫理的理由からしない方がよい、すべきことではないと言える

これは、いわゆる「功利主義」と言われる考え方を基礎にした、ピーター・シンガーの理論が基本ですが、とてもシンプルでありながら打破するのは難しい理論です。

(使役動物でなく)愛玩動物に限って言うならば、あえて思い切った表現をすると人間の「(癒しを含めた)娯楽」のため → 人間の「娯楽」という「利益」と彼らが商業繁殖や生体販売で受ける「不利益」を比較する → 動物の「不利益」が大きすぎる

この「不利益」は、死産、ショップに行く前に病気で死んでしまう個体、売れなかった個体、疾患などを理由に売れない個体が処分され死ぬことなどを指します。



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③ どんなに善意に基づいていたとしても、愛玩動物を繁殖し商業利用することは、「死」という生きものにとっての最大の不利益のリスクをはらんでいるため、人間側の利益がそれを上回らない限り、正当化することができない。そして現状、上回るとは言えない。

つまり、人間の娯楽のためにあえて死ぬ個体が出るリスクがあることが分っている「繁殖」をすることは、倫理的に見ると正しいことではない、ということです。

それがどんなにその動物が好きで、自分の繁殖する個々の動物の幸せ(ウェルフェア)にコミットしていても、良心的に大切に繁殖をしていても、そしてどんなにその動物たちから幸せを感じる買い手がいるとしても、です。

動物倫理学的には、生きものにとって「生きて幸せを感じる」ことが利益であり、「死ぬ」ことは一番の不利益である、と考えられるからです。

さらに、繁殖する、そしてあえて繁殖された個体をペットショップやブリーダーから選ぶ理由の多くが、前回の記事で書いた「機能」と「見かけ」のため、あるいは「たまたま」であることも、その理由です。

そして驚くほど多くの場合、「見かけ」重視の購買・繁殖がなされています(大きさ、色、耳やシッポの形など)。

ちなみに大型店舗が中心となってきた生体販売では、個体価格が2倍になっているとの報告もあります。

そのために動物が払う犠牲の中に、その特徴を出すために類似の遺伝子を持つ個体をかけあわせることで生じる遺伝的疾患があることは、前回も書いた通りです。

股関節形成不全、視力喪失、アレルギー、臓器疾患、など、例を挙げるときりがありません。

猫でも、マンチカンは足が短くて(うちの三ちゃんもちょっと短足ですが( ´艸`))「かわいい」のが特徴ですが、その短い脚のために関節が動かなくなったり。

だから、動物を繁殖するということは、「死んでしまう個体」や「遺伝的疾患が出る」リスクを伴う行為であり、それだけの不利益を動物に負わせる正当な理由を人間が持っているとは、一般の私たちが一緒に暮らす相手としての「愛玩」動物の場合に限って議論すると、考えられないからです。

そして、そうした個体に愛情を持っていた人間の方も、悲しい思いをしなくてはなりません。



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これは、すでにペットショップやブリーダーさんから動物を買って現在大切なパートナーとして暮らしている方々や、そのパートナーである動物たちを批判したり偏見を持つこととは違います。

現に私自身も、先代犬のパフィーはブリーダーさんから(両親が)買いました。

その頃はこういう考えに触れておらず、ただただかわいい仔犬を見に行き欲しくなった、というお気楽な選択でした。

ですから、同じように今のパートナーと出逢った人の気持ちもよくわかります。

もちろん、今はここに書いてるような考えを知ってしまったため、個人的に検討はしてほしかったな、という気持ちはなくはないです(笑)。でも、私は今は純粋に、幸せにしているペアを見ると、出処はどうあれ純粋に、愛を見つけられてよかったね、という風に思います。

それに、ある調査によると(週刊東洋経済、2016年9月10日号, p. 86)、ペットショップから動物を買った人のうち1/3強以上の人が、次はショップ以外から、と答えたそうです。


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④ 上記理由の中には、より倫理的に望ましい選択肢(保護動物の引き取り)が存在するから、というものがある。

今、「不要」とされる犬猫がいる以上、まずは余剰の個体を生み出すよりすでに存在する個体を引き取る、というのはどう考えても一番効率のいい考え方です。

下は、環境省の発表したH27年度犬猫の引き取り数(ただし下に書くようにここに出てこない個体数は、把握しきれていないため、実際の「不要」犬猫は、もっともっと数が多いです)。


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「不要」犬猫がゼロになった時初めて、また繁殖、ということを考えればよい、というのが、一番理にかなっています。

年齢とか大きさとか細かいことはいったん置いておくならば、これは誰も否定しないことだろうと思います。

実際は完全に繁殖をゼロにするのではなく限られた一部の繁殖を認めることになるでしょうが(犬種存続や使役犬の存続を求める声があります)、まずは、私のようなごくごく一般大衆のための「商業繁殖」のモラトリアムはあってもよいのではないかと思います。

ただ、政府が突然、そうしたモラトリアムを設けるとは思いませんし、欧米型と異なる日本の「個人の自由」を尊重する法体系上も、産業界からの反発もあり、ほぼ不可能でしょう。

これはあくまで、「消費者」である私たちが、「何を選ぶか」ということです。

需要が激減すれば、今ペットを繁殖・販売しているビジネスは、他のビジネスモデルに移行できるよう、動いていくはずだからです。

消費者である私たち一般人が、意識して選択を重ね、声をあげていくしかないのです。

ただ、ここにまた複雑な構図が存在しています。


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⑤ 「保護動物」を引き取る善意に、商業繁殖・生体販売をする業者が支えられている構図も出て来ている

例えば、犬猫の「引き取り屋」という商売が存在しています。

ペットショップやブリーダーからの「不要」犬・猫を持ち込めるところです。一頭あたり数万円の謝礼であるとされているそうです(週刊東洋経済、2016年9月10日号、p. 78)。

また、ブリーダー崩壊(多数の個体を抱えきれなくなる状態)などから出る個体を保護→譲渡する、「シェルター」を持っているペット業界協会があるそうです(同上、p. 81)。

さらにそのシェルターに、ペットショップからはペットフードの寄付があるとも書かれています。

「殺処分数が減った」という「事実」も、実は裏側に、以前であれば動物管理センターに持ち込まれていた動物が、いったん別の場所(上記や保護団体など)を通して引き取られていく、という新たな構図を内包しています。

もちろん、犬や猫を直接保護したり管理センターから引き出しをしているボランティアさんの貢献とセットです。

そして、ボランティアさんはいつもキャパオーバーです。

本当は、殺処分自体が減っても、犬猫のサプライチェーンが変わっただけで、死んでいる個体や「不要」個体については同じ、あるいはペットの増加に伴い増えていると考えることもできます。

本来は責任を取るべき業界の「不要」や「売れ残り」の犬猫が、長いサプライチェーンを通して様々な人の善意により「ロンダリング」されるという、皮肉な構図があります。

だから、まずは大元を絶たないとこの問題は解決しないのです。

今の「猫ブーム」「ネコノミクス」が心配なのは、これまでは猫は引き取ったり拾ったりが中心であったのが、ペットショップで大々的に猫を売り出すようになってきたことがあります。

そして、これまでより繁殖される個体が多くなったことです。


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「すべての動物(every dog & cat)」の「利益」を考えよう、というのがパフィーズの Every dog project です(名前は cat も入れないといけないので改訂考案中!)。

そして、これがパフィーズでは当初から、生体販売をしているお店には商品を置いていただかないようにしている理由です。

今商品を置かれているところはみなさん、最初から生体販売はされていないですし、契約の際はこの方針にサインをしていただいています。

ビジネスとしてなかなか大きくなりきれないのかもしれません。

でも、Mikeさんも同じですが、犬猫の幸せレベルを引き上げるために始めたビジネスで、彼らの幸せを損なうようなことには加担できません。


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わかるけど... の「けど」に続くことを考えてみると、自分がどう生きて行きたいか、というクエスチョンにも繋がるトピックであるんだなあとも思います。

私自身のことで言えば、確かに月ちゃんは、愛らしく愛されて生まれてきた幸せパピーちゃんとは違い、予測不可能なこと、面倒な性質、そんな面も持ち合わせていて、いい意味でも私を驚かせっぱなしでした。

でも、そんな月ちゃんだからこそ教えてくれたことがいっぱいあり、私と月ちゃんの絆は深まっていったし私は成長できました。

これが、Giving is receiving ということなのだなあと思います。

三ちゃんの場合は、フレンドリーすぎて「もうけもの!」の一言につきます(笑)。これも、Giving is receiving。

でも、長くなったので、いったんここで終わりにしますね。

またまた長文におつきあいいただいた方、ありがとうございました。

そして、とうとうメディアでの動物の扱いについて書くつもりが、行きつきませんでした!

が、最後、月ちゃんのきれいな瞳で終了です。


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こちらは月ちゃん・三ちゃん・私の日常 ↓

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